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五感で味わうグルメこそ尾道のエスプリだと事務局を受けたが

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スローフード広島の痕跡/SlowfoodParty


スローフード広島の痕跡/SlowfoodParty

国宝の寺、浄土寺で味わうスローフード


今年(2007年)の3月末頃だったか、「スローフード広島」事務局から尾道で食事会ができないかと打診があった。吾輩は、待ってましたとばかりにOKの即答をした。
スローフードに相応しい条件は、スローライフな尾道だから充分に備わっている。その上、吾輩たちは今から数えて19年ばかり前(1988年)から約11年もの間、「グルメ海の印象派−おのみち−」という食文化イベントの中で、食談『我等、尾道派』を企画運営した実績を持つ。その経験から、吾輩たちは「グルメは五感で味わうもの」だと思っている。
尾道には、古の人々から脈々と受け継がれてきた歴史があり、ゆるやかな時間が支配するすばらしい「寺」という空間がある。美しい庭がある。新鮮な食材とそれを心を込めて調理する料理人もいる。そしてスローフードを語り、スローライフの意味を熟知する僧侶もいる。
というわけで、曼陀羅の権威者で大本山浄土寺の小林暢善住職にご相談したところ、『茶会席ほどスローフードに相応しいものはない』との回答。しかしながら、本格的な茶会席を行うには、時間も予算もスタッフも足りない。それでは茶会席風に行いましょうと、2007年5月3日に11人という少人数で濃密な食事会をすることとなった。以下、ほんのさわりをご披露することにしよう。
まず、玉座のある方丈の間で抹茶を頂きながら心豊かに庭を愛で、ご住職の案内に耳を傾けながら本堂、阿弥陀堂をめぐり、その後、庭に降り立ち、茶室「露滴庵」を拝観。ここまで来れば、夕暮れとともに心清らかに食事も味わえるというもの。客殿の「上の間」に移り、尾道の食材を使った心尽くしの鮮味「くにひろ」の料理を堪能しながら、談笑は過ぎ行く時を忘れさせた。
ちなみにスローフードは郷土料理ということで、「くにひろ」のご主人からアナゴとほうれん草による「がせつ」という尾道の郷土(家庭)料理を紹介いただいたが、恥ずかしいかな吾輩はこの料理を知らなかった...。
ほかに造りや豆ごはん、トマトをまるごと使ったデザートなどあったのだが、食べることに気を取られ、写真を撮るのを忘れてしまった。

「我等、尾道派 スローフード パーティー」


2008年5月22日食のまち尾道で、NPO法人おのみちアート・コミュニケーション(通称アート・コムという)の食談部会が「スロ−フ−ド広島」の協力を得て、「我等、尾道派 スローフードパーティー」を開いた。このイベントはアート・コムの総会後に行われ、昨年10月行った東京アピール「我等、尾道派−東京の集い」の尾道版というべきもので、「食」に対する関心度も高く、予定を大きく上回る人々が参加され、交流を深めた。
一般的にスローフードとはグルメや地産地消と同義語だと誤解され易いが、そうではない。スローフード・インターナショナル(国際スローフード協会)が定めた1996年のスローフード法令には、具体的な活動における3つの指針が示されている。
それは、「@消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。A子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。B質のよい素材を提供する小生産者を守ること」である。そして希少で消滅しようとしている「食」を守ろうとする運動として、「味の箱舟(アルカ)」が認定された。
今回は会場をなかた美術館の中にあるレストラン『ロセアン』とし、パーティー料理の食材には、スローフードジャパンが認定した「味の箱舟」(2007年現在20品目)の中から、旧南部藩で飼われていた南部牛に由来する日本短角種(短角牛、赤ベコ)をメインに以下のような食材が使用された。
●ほうれん草とサーモンの軽い燻製サラダ(食材:ほうれん草「三原市久井町 梶谷農園」/広島県内で最初に勇気栽培に取り組んだ農園、葉の柔らかな若摘みでサラダに最適)●アスパラガスソバージュと帆立貝のエストラゴンマリネー(食材:アスパラガスソバージュ「フランス」/野生のアスパラガス、帆立貝「北海道 根室」)●真鯛とオニオンのレモン醤油風味サラダ(食材:真鯛「瀬戸内 天然」、たまねぎ「尾道市向島町 安保雅文さん/有機栽培」)●空豆の塩茹で(食材:空豆「「尾道市向島町 安保雅文さん/有機栽培」)●冷製トマトとしそのカッペリーニ(食材:トマト「尾道市向島町岩子島 勇木敏隆さん/水耕栽培トマト・桃太郎8」)●和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み(食材:黒毛和牛「鹿児島/ホホ肉はコラーゲンを豊富に含んでおり、煮込むととろけるような食感」) ●短角牛のモモ肉のローストビーフ(食材:日本短角牛「北海道旭川市 オサラッペ牧場/南部牛に由来する『日本短角種』。牛の外観はチョコレート色で性格は大人しく草食中心、放牧主体で飼育されている。肉は低脂肪・低カロリ−。ジューシーな赤身の多い肉で、旨味成分であるアミノ酸は黒毛和牛よりも多い。『味の箱舟』の一つ」)●生ハムとサーモンのオープンサンド●デザート盛り合わせ(柑橘フルーツ、マロンロールケーキ、いちごのプティシュー)、コーヒー(食材:ニューサマーオレンジ、サマーフレッシュ、清美みかん「尾道市瀬戸田町高根島 おがわ農園 小河章壮さん/新種改良柑橘類。有機栽培で木熟させている」)●奥出雲ワイン白(島根県雲南市木次町 奥出雲葡萄園/山葡萄交配品種のホワイトペルガール使用。青りんごの香り、いきいきとした酸味を感じる、フレッシュな味わいの辛口)●奥出雲ワイン赤(島根県雲南市木次町 奥出雲葡萄園/山葡萄交配品種の赤ぶどうを使用。やわらかな渋みと特有の酸味、山葡萄らしい野趣に富んだ味わい)
スローフードパーティーは、ただ食べるだけの集いではない。当然ながら、「スローフード」とは何かについて、深く勉強する会でもある。今回はゲストスピーカーとして「スローフード広島」のリーダー末永 航氏のレクチャーを受けた。
尾道は「何故か懐かしさ」を感じると人はいう。それは人々のDNAに刷込まれた古のヒトが人として活き活きと生きた時代のテンポ(時間の流れ)を呼び覚ます覚醒機能をまちが持っているということにほかならない。吾輩たちはそんなまちをスローシティーと呼んでいる。

第5回スローフード・パーティーin尾道


スロ−フ−ド広島では、2014年12月14日(日)に尾道では5回目を数える「スローフードパーティー」をなかた美術館の展示室と館中にあるフレンチレストランで開く。「第5回スローフードパーティーin尾道」は一部と二部で構成される。一部はオーストリアのクレムスミュンスター在住のチェンバリスト大村圭子によるコンサート、第二部ではビュッフェ形式の立席パーティーとなっている。

<第一部>大村圭子チェンバロ コンサート


開演:16:30〜18:00/前売券3,000円(当日3,500円)/会場:なかた美術館展示室 ●演奏曲目/ヨハン・ヤコブ フローベルガー(1616-1667)トッカータ 3番 FbWV 103ト短調/ヘンリー・パーセル(1659-1695)ハープシコード組曲 第8番Z.668 ニ短調 アルマンド クーラント ホーンパイプ/ルイ・クープラン(1626-1661)クラヴサン曲集より 組曲 ヘ長調プレリュード 動きを変えて アルマンド クーラント サラバンド バスク風舞曲 シャコンヌ ジーク/ベルナルド・ストラーチェ(1637-1707)パッサカリア ハ短調/ヨハン・セバスチャン バッハ(1685-1750)半音階的幻想曲とフーガ BWV 903 ニ短調 ファンタジア、フーガ/アントニオ・ソレール(1729-1783)ファンダンゴ R.146 ニ短調

●大村圭子プロフィール
大阪生まれ。大阪教育大学ピアノ科卒業後、ミュンヘン音楽大学にて音楽教育学及びクラウス シルデ教授にピアノを師事。卒業後、ミュンヘン大学にて音楽学を専攻。帰国後は長年にわたり大阪にて後進の指導と演奏活動に携わる。
2006年2度目のドイツ留学の為、ワイマール音楽大学ピアノ科入学。ゲルリンデ オットー教授にピアノを師事するが、ワイマール音楽大学で催されたフォルテピアノセミナーにおいて非常に感銘を受け、古楽器奏者への転進を決意。
2007年ワイマール音楽大学チェンバロ科に入学。チェンバロ、通奏低音をベルンハルト クラップロット教授に室内楽をミドリ ザイラー教授に師事。在学中よりワイマール音楽大学室内オーケストラ、ゾンダーハウゼンオーケストラの通奏低音奏者として活躍。J.S.Bachのロ短調ミサ曲をライプッチッヒトーマス教会カントールのクリストフ ビラー教授の指揮でワイマール音大室内オーケストラのオルガン通奏低音奏者としてワイマールのヘルダー教会、アイゼナッハのゲオルゲン教会で演奏するなど、数多くの演奏会に出演。
チェンバロソリストとしても多くのリサイタルを開催。ワイマールのバッハビエンナーレ(2008年)では著名な文学者ギーゼラ クラフトと文学とチェンバロのコラボレーションコンサートを催し、マスコミでも高く評価された。
2011年ワイマール音大チェンバロ科卒業後はオーストリアに拠点を移し、ザルツブルク音大で音楽学を専攻。その後ドイツ、トロッシンゲン音大大学院でフォルテピアノをウォルフガング ブルンナー教授に師事。
2012年からはリンツのアントン ブルックナー音楽大学に移り、チェンバロ科大学院でイエルク ハルベック教授にチェンバロを、フォルテピアノ科大学院で ウォルフガング ブルンナー教授にフォルテピアノを師事。チェンバリスト、フォルテピアニスト、室内楽奏者としてヨーロッパ各地及び日本にて演奏活動を行っている。
また、2013年より世界屈指のオリジナルフォルテピアノの収集を誇る楽器博物館クレムスエック城のピアノ部門に勤務。演奏家としてはフォルテピアノのセミナー、演奏会などの活動、プランナーとしては講習会、イベントの企画等を行っている。

<第二部>スローフード パーティー


開会:18:30〜20:30/チケット7,000円(フリードリンク付)*要予約/会場:レストラン ロセアン(なかた美術館内)
このたびのスローフードパーティーでは、2014年6月13日付でARK(味の箱船)に登録された沖縄奄美「島豚(シマウヮー)]をメインとした料理をお楽しみいただく。シマウヮーは、アグーとも呼ばれるが、「アグー」の名称が最近濫用されているため、シマウヮーの呼称で登録された
もともとは中国より移入されたとされるが、西欧豚の交配関与が少なく、外貌的、生理的、骨格においてもっとも古い在来形質を保持しているとされている。明治以降、豚を取り入れた日本本土の食文化とは異なり、沖縄の伝統的な食文化は豚に始まり豚に終わるといわれる。鳴き声以外全てを食べるとも言われる沖縄の豚は、沖縄の食文化の多様性をつくりだした。
また西洋種の混入を避け、沖縄在来豚の血統を維持するシマウヮー(島豚)は減少の一途をたどり、存続が危ぶまれていたが、東京で遺伝育種の研究員として野生動物のDNA解析などをしていた高田勝さんが沖縄本島北部の今帰仁村に移り住み、純正に近い飼育に努力されてきた。今回はその農業法人今帰仁アグーから直送の豚肉を味わう。
またこの時季、古くから尾道で食されるデベラや野菜も農薬を使用しない尾道産のものなどを使用し、それぞれの素材を生かして丁寧に仕上げていきます。旬の食材を美味しく楽しみながら、食文化の伝統や未来についても思いを馳せていただければ幸いだ。
前にもご紹介したが、一般的にスローフードとはグルメや地産地消と同義語だと誤解され易いが、そうではない。スローフード・インターナショナル(国際スローフード協会)が定めた1996年のスローフード法令には、具体的な活動における3つの指針が示されている。
それは、「@消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品やワイン(酒)を守る。A子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。B質のよい素材を提供する小生産者を守ること」である。そして希少で消滅しようとしている「食」を守ろうとする運動として、「味の箱舟(アルカ)」が認定された。
今回は会場をなかた美術館の中にあるレストラン『ロセアン』とし、パーティー料理の食材には、スローフードジャパンが本年に「味の箱舟」に認定した沖縄奄美の「島豚」や尾道近郊で栽培される旬の食材を使用する。
2017年4月、スローフード広島は、スローフード日本から脱退した。
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